トークンの規格化 / Avalancheのローンチ / Uniswapの今後

#144 Bspeak! 2020年9月21日号

Handshake

Koji Higashiさんが運営しているビットコイナー反省会にて、Polkadotについて話しました。本題からはそれるのですが、Handshakeプロトコルというプロジェクトや、その上で私が作っているWebshakeも日本語で初めて話しました。

 

■Last Week in Crypto

1.Uniswap | Introducing UNI

Uniswapが待望のガバナンストークン「UNI」トークンを発表しました。9月1日以前の全ユーザーに15%がエアドロップされています。Uniswapを利用したことがある人は400 UNIが付与され、流動性を提供していた人に対しては上乗せで付与されています。おそらく提供した「金額×期間」に応じて付与されています。

今回のトークン配布で良かった点は、これまでの利用していたユーザに利益が渡った点です。ユーザとしては「もしかしたら今後も経済的な利益があるかもしれないから他のプロダクトも触っておこう」という心理が働き、作る側もフィードバックを得やすくなり、界隈全体がより活発になります。

UNIに関しては、Uniswapの所有権をUNIトークンで表現し、十分に分散させてなるべく規制リスクを軽減した上で、プラットフォーム収益の一部がトークンホルダーに分配されるようになると想像しています。このあたりの考え方は、2020年8月10日号でも書いています。

また今後は、a16z が支援・助言していてプロトコル+アプリを作っているようなdYdXなども似たような方法で配布をする可能性があると思っています。

考えてみれば a16z が $10.2M 出資した Handshake も「ある時点以前の最もインセンティブ付けしたい人たちを対象とする」という意味では、今回のUniswapに似たようなアプローチをとっていました。

Handshakeがやったことは、2019年2月以前にGithub上で、15人以上フォロワーを持つ全アカウント情報をHandshakeチェーン(マークルツリー内)に埋め込みました。

オープンソースに貢献しているトップ開発者である可能性が高いそれらのアカウントは、エアドロップとして付与されたHandshakeのトークンをClaimすることができ、Handshakeに興味を持つことを狙ってるわけです。

 

2.Polimec, KILT Protocol, Credentials for Web 3.0

「Polimec」という、Polkadotのためのトークン発行と転送のフレームワークが発表されました。EthereumでいうところのERC20に近いコンセプトですが、Polkadot上で低コストで簡単にトークンが発行できるようになり、どちらかというと資金調達に重きが置かれているようです。「Polimec」という名前は Polkadot Liquidity Mechanism からきています。

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EthereumもERC20の規格が普及してから、いろいろな製品が誕生しました。その理由は、トークンを発行しやすくなっただけでなく、取引所がリストしやすくなったり、プロトコル側が受付けやすくなったり、バグを防ぎやすくなったからです。

こういったフレームワークが整備されると、Polkadotでも同様の加速が予想されますが、実用は約11ヶ月後、2021年を予定しているそうです。最初にこの仕様でトークン発行をするのは、開発元であるKILTチームの予定で、彼らのメインネットに稼働してから、トークンを発行する予定になっています。KILT自体は、IoTなどで使えるアイデンティティをPolkadot上で開発するヨーロッパのプロジェクトです。

 

3.Introducing StableCredit, a new protocol for decentralized lending, stablecoins, and AMMs. | by Andre Cronje | yearn.finance | Sep, 2020 | Medium

yearnのコミュニティから StableCreditという新しいプロトコルが発表されました。レンディング、ステーブルコイン発行、AMMをあわせたもので、AMMに関しては、ペアの片側のみの流動性提供も可能なようです。

そしてこのStableCreditでは、ユーザーが資産を預けて、ステーブルコインを借りる(クレジット枠を受け取る)ことができ、来週に使えるようになる予定です。

system utilization ratio など、正直なところ触ってみないと分からないのですが、ブログやTwitterを読む感じ以下のように動くようです:

  1. ユーザが資産(例えばETH)を預けると、プロトコルは価格を決定するためにオラクルを使用して、預けた額と同額のStableCredit USD(ステーブルコイン)を発行します

  2. コントラクトは自動で、預かったETH + 発行したStableCredit USDを、Uniswapプールに50:50で供給します

  3. その後、コントラクトは、system utilization ratio (システム利用率)という全体のプールのうちどのくらいプールに貢献しているかの割合を計算します

  4. この system utilization ratio まで、StableCredit USDを発行でき、1で資産を預けたユーザに渡ります(最大はsystem utilization ratioの75%)。

StableCredit USDは、クレジット枠のような形で、StableCredit内の他の資産を借りることもできる予定です。

 

4.Ava Labs Sets Avalanche Mainnet Launch for Sept. 21

Avalancheがメインネットを稼働させます。9月21日(月)なのでこのニュースレターを配信しているころです。Ethereumの互換性を持つため、ガス代が高騰しているうちに、DeFi系のプロジェクトが流れてくる可能性があります。

AvalancheではPoSのチェーンで、トランザクション手数料はバリデータに渡らずバーンされます。バリデータになるための金額的な閾値(ステークする必要なるトークン額)は他のPoSチェーンと比べて低めに設定されていて、バリデータのステークが没収されるスラッシュもないため、より多くのノードの参加・分散化を促しています。

現時点の情報だけでは、ネットワークの構成と市場が似ているPolkadotに近いバリュエーションをつける可能性もありそうなので、来週のローンチに注目しています。割と有名なVCなどが支援しているプロジェクトですが、Initialized Capitalが投資に参加しているのが他のスマートコントラクト・プラットフォームと比べて珍しいです。

 

5.New Bitcoin Options App Raises $4.7M in Round Led by Pantera Capital

モバイルでオプション取引ができるアプリPowerTradeは、Pantera Capital、Framework Ventures、CMS Holdings、QCP Capitalなどから、トークン販売で $4.7Mドルを調達しました。Synthetix、Kyber、CoinGeckoの創業者なども参加しています。そして今週はコミュニティセールが予定されています。

PowerTradeでは、何か予期せぬ出来事があったときに補填に使える保険基金を貯めていき、トークンはその保険基金の利用用途を決定するためのガバナンストークンになっています。アプリでは、最低入金額を低く設定し、トレーダーが1ドルから暗号通貨のオプション取引にアクセスできるようにします。この10月にクローズドベータを始め、2020年中に公開される予定です。

モバイルのオプショントレードに需要があるのか正直疑問ですが、割と資金が集まったという所感です。DeFiプロトコルで資金を得た創業者たちが、最近積極的に投資を行っているようで、自分たちのDeFiプロトコルと関わり深くしていくため投資をしている感じがあります。

 

6.DEX aggregator ParaSwap raises $2.7 million in seed funding

分散型取引所(DEX)アグリゲータであるParaSwapが、$2.7Mドルのシード資金を調達しました。

このラウンドには、Blockchain Capital、Alameda Research、CoinGecko、Arrington XRP Capital、Lemniscapなどが参加しました。Aaveの創業者、Argentの創業者、DeFiance Capitalも参加しています。

DEXアグリゲーターでいうと、1inch.Exchangeが最近 $2.8Mドルを調達し競合として意識されているようですが、最近では0xのMatchaもアグリゲーターとして競争しています。

 

7.Polkadot Projects Will Be Able to Mint Their Own Tokens in 2021

セキュリティ・トークン取引所INXのIPOが、Ethereum上で行われ、約220人ほどが投資していることが、Etherscan(ブロックエクスプローラー)を通して見ることができます。セキュリティトークンもじわじわと進んでおり、どこかで時間をとって書きたいと思っているところです。

 

8.New Binance-Backed DeFi Site Lets You Earn Yield on Bitcoin, Other Non-Ethereum Assets

ビットコインなどEthereumチェーン上以外のトークンで利回りを得ることができるDeFiプラットフォームとして、Harvest.ioが発表されました。harvest.finance とは別物です。

Harvest.ioは Kavaブロックチェーン上に構築され、ユーザーが資産をロックして他のユーザーに貸し出すことができ、まずは BTC、BNB、BUSD、XRPがサポートされます。

Kavaは、MakerDAOと同様に担保を元にステーブルコインであるUSDXを発行できますが、KavaではEthereum外の資産を担保として利用できます。今後は、UniswapのようなDEXや、Yearn.Financeのような自動の最適化(ロボアドバイザー)をKava上に出すそうです。

DeFi系のプロトコルもアプリも、この3ヶ月で似たようなものが増えています。レイヤー1ほど開発に時間がかからないので、純粋な技術というよりはマーケティングや戦略の勝負のようになっている側面もあります。

 

9.Kraken is launching a crypto bank in Wyoming, paving the way for possible stock offerings

KrakenがKraken Financial という事業体で、銀行を立ち上げることがわかりました。ワイオミング州が考案した新しい枠組みのもと、規制に準拠して運営されます。

Silvergateが、クリプト企業向けの銀行で人気と言われていますが、自前で持つことによって、リスクを低減して、よりほかのサービスを展開しやすくする狙いです。

レンディングのBlockFiも、今後のクレジットカードを計画していて、より包括的な金融製品に取り組む企業が増えてきた印象です。

 

10.Bitcoin CEO: MicroStrategy's Michael Saylor Explains His $425M Bet on BTC

2020年8月17日号の9で書いたように、$250Mドル相当のビットコインを購入して話題を呼んだIT企業のMicroStrategyですが、追加で$175Mドルをビットコインに購入したことをTwitterで発表しました。

現在までに、38,000 BTC以上を購入しており、その保有資産の大部分は、長期的に保有することを約束しています。

CEOのMichael Saylorは「100年に渡って投資できるものがほしい」と述べていますが、彼のBitcoin投資への考え方は、Podcastインタビューでも述べられています。有志で日本語訳された記事もあります。

 

11.Industry investment firm Blockchain Capital joins the Libra Association

Blockchain Capitalが LibraAssociationに27番目の会員として加入しました。決済システムの構築を支援するそうです。また最近 Libra Association は、子会社であるLibra Networksのマネージング・ディレクターとして、元HSBCヨーロッパCEOのジェームズ・エメット氏を採用しています


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#143 Bspeak! 2020年9月14日号 BitcoinをDeFiに持ち込む / Ethereumとの互換性をもたせる

#142 Bspeak! 2020年9月7日号 yETHが金利を最大化する仕組み/待望のDeFiの保険

#141 Bspeak! 2020年8月31日号 Polkadotの「DOTトークン」はどう価値を獲得していくのか

#140 Bspeak! 2020年8月24日号『DODO』はUniswapキラーとなるか/ NEARのEthereumブリッジの仕組み

#139 Bspeak! 2020年8月17日号 イーロン・マスクが宇宙の金を採掘するが、Bitcoinの供給は変わらない / $YAM 等

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#121 Bspeak! 2020年4月13日号 Microsponsorsを使った商取引(Part1) / シカゴDeFiアライアンス

#120 Bspeak! 2020年4月6日号 Makerの分散化に向けた最終ステップ

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