『Compound Treasury』のねらい

#185 2021年7月5日号

2021年後半

7月になりましたが、OptimismやArbirumなどのEthereum L2がいよいよ出てくると言われています。これまでガス代が高くなりすぎるために実現できなかったようなアプリケーションが出てくると思うので、2021年下半期はL2による盛り上がりに期待しています。

またEthereumのEIP1559を含むアップグレード(通称ロンドンのアップグレード)も7末-8月に予定されています。これはネットワークの混雑状態に合わせてブロックサイズを動的に調整し、ガス代の市場レートを作るものです。そして手数料に使われたETHはバーンされるようになります。

どのように使い勝手が変わるのか、プロジェクトにどのような影響を与えるか、ETH価格にどのような影響を与えるのか、など見ていくのが楽しみな時期になります。

 

■ Last Week in Crypto

1.Layer 2 Excitement Buoys Qredo Token Private Sale

Qredoは、トークンのプライベートセールで、$16Mドルを調達したことを発表しました。今回のプライベートセールの投資家には、Coinbase、Figment、Nexo、Ledger Prime、LD Capitalなどが参加しています。またCoinListでパブリックセールを実施することも発表され、セールは今週予定されています。

 

QREDOについて

Qredoは、Tendermintを利用した独自ブロックチェーンで、分散型カストディを目指します。またユーザは、異なるチェーンをまたいでトークンを交換することもできます(現在はBTC、ETH、ERC20対応)。

最近の説明を読んでいると、DeFiを利用したい機関投資家のニーズを重要視しているようです。先日、ETH2.0のステーキングサービス事業者StakeHound(+その預かり業者Fireblocks)が鍵を紛失し、約$75MドルのETHにアクセスできなくなったという事件がありましたが、このような鍵管理のリスクを軽減するための分散プロトコルになります。

カスタマイズされた分散カストディを簡単にセットアップでき、コンプライアンス義務を助けるレポート機能のようなサービスも開発しています。

 

Qredoの仕組み

Qredoは、秘密鍵を分散化するために、閾値署名方式(TSS)を使ったマルチ・パーティー・コンピュテーション(MPC)という暗号技術を使用しています。

暗号鍵のシェアが、複数のMPCノードに保持されます。複数ノードが協力することで、秘密鍵を生成することなく、トランザクションに署名するためのデジタル署名を生成することができます。

通常これらのノードは同じ組織によって管理されていて、現状はQredoでも、すべてのMPCノードはQredoチームによってコントロールされていますが、徐々にコミュニティに委ねられていきます。そしてQredoチェーンが、データセンターで運用されるMPCノードをコントロールします。

 

トークン

QRDOトークンは、Qredoチェーンのノード(バリデータ)がステークするのに利用され、ネットワークを維持するインセンティブとなります。よくあるPoSと同じです。

ガバナンストークンとしても機能しますが、以下のネットワーク参加者/利用者である、

  • トレーダー

  • カストディのユーザ

  • マーケットメイカー

  • バリデーター

にそれぞれ報酬を与えるのにも利用されます。トークンの配分は以下のようになっています。

画像:トークンペーパー

 

2.Coinvise raises $2.5M to Build a Social Network for the Web3 Creator Economy - by Coinvise

ソーシャルトークンのプラットフォーム Coinvise は、Galaxy Digital HKとIDEO CoLab Venturesが主導で $2.5Mドルを調達しました。ソーシャルトークンを利用して、巨大テック企業のプラットフォームに左右されずに、クリエイターが活動を収益化できるようにすることを目指します。

ページを見ると分かりますが、自分のトークンを使って、報酬を与えたり、エアドロップをしたり、クラウドファンディングするためのツールを提供しています。またソーシャルトークンは、限定ページやチャンネルへのアクセスにもなり、そのようなツールも提供していくそうです。

最近はソーシャルトークンや、ソーシャルネットワークのプロジェクトへの投資が増えてきました。利用するクリエーターも増えてきているので、次の流行りとなる可能性があります。

 

3.Spencer Dinwiddie's Crypto App for Creators Raises $7.5M

米国のバスケットボール選手Spencer Dinwiddie氏が創業した、トークンを使ったクリエイター向けアプリCalaxyが、$7.5Mドルを調達しました。

Animoca Brands、Red Beard Ventures、ArkStream Capital、NGC Ventures、Genesis Block Venturesが参加しています。またエンジェル投資家には、NFLのスター選手や、NBAのコーチ、Paypalの元ブロックチェーン戦略の責任者などが参加しています。

今回の資金調達は、将来のCalaxyのトークン or 株式との交換が可能な権利によって行われています。

Calaxyは、クリエイターや有名人がトークンを使って、ファンとのやり取りをすることができます。具体的には、ビデオメッセージ、オンラインのクラス、ビデオ電話、ファンクラブなどでファンエンゲージメントをすることができます。

今のところ、このアプリは社内でしかテストされていませんが、数週間後にはパブリックベータに入る予定で、クラブハウス的な方法でローンチしていくそうです。

Spencer Dinwiddieといえば、2020年に自身のNBA契約をトークン化して売り出しています。Bspeak! 2020年1月13日号でも以下のように書いています。

 

Spencerは先にお金を受け取ることができ、トークンの投資家は4.5%の固定金利を得ることができます。アスリートをアセットと見なし、NBA契約をトークン化することで、相場に無相関で不景気に強い(かもしれない)リターンを持つアセットと見ることもできます。

アスリートにとっても事前にお金を受け取れる可能性があり、キャリアの早い段階でローンを返せたり、全盛期によりマネタイズすることができます。

 

これと似たように、クリエイターが自分の仕事の契約をトークン化する機能なども、今回の資金を使って追加していく予定になっています。

珍しいのは、EthereumではなくHedera Hashgraphを利用している点です。Calaxyは今後も資金調達を進めていく予定で、次のラウンドでは何らかのトークンを導入する予定だそうです。

 

4.Decentralized Investing Platform Syndicate Raises $800K From 100 Investors

分散型投資プラットフォームSyndicateが、Balaji Srinivasan、Jeremy Allaire、Meltem Demirorsなど100人のエンジェル投資家から資金を調達しました。縁があって私も参加しています。

Syndicateは資金管理を行うDAOを簡単に設立できるできるプロトコルを開発していて、これまでに6つのDAOがSyndicateを使って立ち上げられています。

またプロトコルに加えて、その上のソーシャルネットワークも開発していて、今後数週間で、プライベートベータ版を段階的にローンチしていく予定になっています。

 

5.Twitter is giving out 140 Ethereum-based NFTs that can be seen on Rarible

Twitterが、7種類のNFTを、各デザイン20個ずつ、合計140個を配布しました。NFTマーケットプレイスRaribleに出品されていますが、直接配布しています。

Twitterに関連するアニメーションがNFTになっていて、例えば「Reply Guy」というNFTは、いつも同じ返事をする人が描かれているNFTになっていたり、「First Born」では、TwitterのCEOであるジャック・ドーシーの初めてのツイートがコンセプトとなっています。

Twitterは、Blueskyというプロジェクトで分散型のソーシャルメディアも研究しているので、そちらに何か紐付くのかと思ったのですが、Blueskyはビットコインのような公平なプロトコルを志向しているので、それはなさそうです。しかし今後なにかしらのサービスと関連づけたり、特典が出てきたら面白いと思います。

 

6.A16z Leads $12M Investment in DeFi-Native Crypto Tracing Firm Nansen

DeFiデータ分析企業のNansenは、a16zがリードのシリーズAで$12Mドルを調達しました。このラウンドには、Skyfall Ventures、Coinbase Ventures、imToken Ventures、Mechanism Capital、QCP Capitalも参加しています。

最近はChainalysisやCipherTraceなどの分析系の企業が、大規模な資金調達をしていますが、これらは規制当局や取引所が主な顧客です。

一方でNansenの場合は、実際のクリプトを利用する市場参加者にもオンチェーン分析ができるようにする、という考えで始まっているため、一般利用者も増えてきているそうです。

 

7.Compound Labs Launches 'Treasury' to Get Big Firms Reaping DeFi Yields

Compoundを開発するCompound Labsから、「Compound Treasury」が発表されました。機関投資家むけDeFiの火付け役となるかもしれません。

FireblocksやCircleと連携することで、ユーザは法定通貨のドル送るだけでよく、あとはUSDCに変換され、そのUSDCが4%の固定利回りで運用されます。銀行の普通預金や他の多くの選択肢よりも、利回りの高い選択肢となります。

またCompound Treasuryでは、ロックアップなどもなく、ユーザー好きなときに資金をやりとりできるようになっています。

Compound LabsのCEOによれば、Compound Treasuryを始める理由は企業としての収益をあげて持続可能性を探るためだそうです。Compoundというプロトコル自体から収益を上げませんが、そのプロトコルを利用したサービスで収益をあげて開発を持続的にしていくという狙いです。

 

CompoundでのUSDC利回りが長期的に4%以上になれば、その差異で収益を上げることができる計算になりますが、現在USDCの利回りは1-2%程度です。

では大幅な赤字になるかというとそうでもなく、今後約3年間はCompoundユーザーは流動性マイニングのCOMPトークンを得ることができるため、この分も追加されます。ガバナンス次第ではこの期間が伸びる可能性もあります。

また近い将来ローンチされるCompoundチェーンでCOMPの価値が高まれば、この分は高い収益となります。

 

8.Community Gaming raises $2.3 million from CoinFund, Dapper Labs

eスポーツのトーナメントを主催するCommunity Gamingは、シード資金で$2.3Mドルを調達しました。CoinFundがリード投資家となり、その他に Animoca Brands、Dapper Labs、Multicoin Capital などが参加しています。またプレシードでリード投資家だったConsenSysも参加しました。

Community Gamingは、ETH、DAI、USDCなどを使ってeスポーツの報酬を分配しています。今回のシード資金を利用して、南米や東南アジアでの事業拡大を継続し、チームの拡大する予定です。

 

9.Coinbase Ventures Invests in Mobile Game Developer Bling - CoinDesk

プレイすると、ビットコインのリワードをもらえるモバイルゲームBlingは、Coinbase Venturesなどから、シード資金を調達しました。

Blingのビットコインの報酬システムは、報酬を引き出すためにCoinbaseを使用しており、ユーザーはCoinbaseウォレットを作成する必要があるようになっています。

 


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以降もSubstackページからご覧ください。