Flowが可能にするブロックチェーンアプリ/ Buyback&Makeのモデル

#145 Bspeak! 2020年9月28日号 

■Last Week in Crypto

1.New Bipartisan Bill Would Classify Digital Tokens as Commodities, Not Securities, in US

米国の話題ですが、「既存の証券法を改正し、トークンを有価証券の定義から除外する」という法案がトム・エマー議員から提出されました。いずれにしても企業がトークンを発行して投資契約がある場合は、証券取引委員会(SEC)に登録しなければならないと指摘がされています。トークンの扱いに関する法的な枠組みは、向こう1,2年で徐々に明確になっていくと思います。

法案原文はこちら:09/24/20 -draft of new bill introduced by Rep. Tom Emmer on token classification | Securities (Finance) | Government Information

 

2.Out of Gas: We’re Shutting Down UniLogin | by Alex Van de Sande | UniLogin | Sep, 2020

UniLoginがシャットダウンすると発表しました。Ethereum上でのガス料金の高騰によって、新規ユーザー追加にかかる費用が130ドル以上にもなっていたことが理由です。レイヤー2をつかったウォレットへの移行を検討したが、基本的にはやり直しになるため断念したようです。

ガス代に関連するニュースとしては、Ethereumの手数料市場の大幅な変更をするEIP-1559の進捗報告が掲載されました: The State of 1559 - Update 001 🔥 - HackMD

このEIP1159は、Vitalik Buterinが2019年に提案したモデルで、「一過性の混雑に対処するために、ブロック単位で固定されたネットワーク手数料をバーンし、ブロックサイズを動的に拡大/縮小する」という変更提案です。

進捗状況としては、クライアントの実装、シミュレーション、ゲーム理論的な分析、コミュニティへの働きかけ同時進行していて、10月8日に実装者の会議が予定されています。そこで「メインネットへの準備チェックリスト」について議論されます。懸念事項としてあげられているのは、ブロックサイズを現在の3倍まで伸ばすことができるため、DOS攻撃が3倍の効果になる可能性があるという点です。

EIP1159が導入されれば、Ethereum上のアクティビティがETH価値の上昇にも繋がりやすくなるというポジティブな声も多く、ユーザ目線からしても近いうちに大きな話題になるはずです。

 

3.A Deep Dive Into Flow: The Blockchain for Open Worlds

FlowがCoinList上でトークンセールをすることが発表されました(リファラルコード)。発表から1週間以内でCoinListの過去最大の参加人数になっています

Flowは、2017年に大流行した CryptoKittiesを開発していたDapper Labsが作る独自チェーンです。スマコンチェーンにしては後発ですが、Warner Musicや、a16z、USVなどから $11.2 millionを調達して一気に進めていました(1年前のBspeak!でも書いています)。

今回のセールでは、2種類の選択肢から選ぶことができ、上限$1000のコミュニティセールはa16z、USVなどから調達したラウンドと同じ単価($0.1)で参加することができます。もう1つはダッチオークションで、開始価格 $1 で始まり $0.1 まで徐々に下がっていき、その中で入札するという購入方法です。

Flowトークンの役割としては:

  • ノード運用へのステーキング

  • ノード報酬の支払い

  • トランザクション手数料(ガス代)

  • データ保存(ストレージ)するのに最低限リザーブ

  • FLOWネットワーク上のアプリやゲームで共通して利用できる通貨

です。

Flowの目指すところは、cryptokittiesのようなゲームやソーシャル・ネットワークなどのコンシューマアプリが動くようなプラットフォームです。ゲームのような一般向けのユースケースに使える性能を実現するために、ノードがステークしている金額とハードウェアのスペックによって、以下4つの役割を選べるようにしています。

  1. データ収集ノード
    -250,000 FLOW 以上ステーク-

  2. コンセンサスノード
    -500,000 FLOW 以上ステーク-

  3. 計算実行ノード
    -1,250,000 FLOW 以上ステーク-

  4. 検証ノード
    -135,000 FLOW 以上ステーク-

またDapper LabsはFlowプラットフォームに加えて、NBAのカードゲームコンテンツであるNBA TOP SHOT (2019年8月5日号の5)も開発しています。

今 early adopters パックが販売されているので、試しに買ってみました。

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シーズン中の名プレーの動画になっていて、トークンとして保有することができます。トークンになっているので、ショーケースに入れて自慢したり、ギフトとして送ったり、マーケットプレイスで販売することができます。

上記はリアル→デジタルで保有する、という方向ですが、今後デジタル→リアルの方向や、相互連携が拡張されてくると面白いです。例えば、デジタルアセット保有者がリアルのNBA試合の席を得られる、キャンペーンに参加できる、というリアルとデジタルの掛け合わせです。

またトークン×ファンアイテムでいうと最近 FoundationZora というプラットフォームで遊んでいるのですが、とても面白く、かつ可能性を感じるため、どこかのタイミングで言語化したいと思っています。

 

4.Liquity Protocol Raises $2.4M in Seed Funding, Led By Polychain Capital | by Robert Lauko

Liquityが$2.4 Mのシード資金を調達しました。Polychain Capitala_capital1kxDFINITY Ecosystem Fund などが参加しています。

LiquityはEthereum上の借入プロトコルを開発していて、借り手は独自のステーブルコインLUSDを無利子ローン(troveと呼ばれます)として借りることができます。このtroveは、最低担保率110%のETHが担保にされていて、最低担保率を下回った場合に担保が返されます。価格安定の仕組みはMediumでも書かれていますが、経済的なインセンティブとアルゴリズム化によって成り立ち、人間によるガバナンスはない予定です。つまり他の類似プロジェクトと比べると、担保資産の資産効率をあげ、かつガバナンスを最小限に抑えることを目標にしています。

 

5.Stop Burning Tokens, Buyback and Make Instead

クリプトVCであるPlaceholderのブログ記事ですが、Fat Protocols という記事で有名なJoel Monegro氏の記事です。「バイバック&バーン」というトークンモデルは、通貨系のトークンでは機能するが、ガバナンストークンのような資産トークンでは有効ではなく、「バイバック&メイク」のモデルがベターだと主張しています。

そもそもバイバック&バーンとは、「得た収益を元に市場からトークンを買い戻し、供給から除外する(バーンする)」というもので、DeFiプロトコルのトークンも最近はプロトコル収益を使ってバーンするような例が増えています。

しかしバーンでは価値を高めることができないので、代わりに再分配するほうがよく、そこにBalancerのプールを使えば、自動的かつ開発コストを抑えられる、としています(彼らはBalancerに初期から投資しています)。

ここで提案されているトークンモデルの具体例をまとめると、例えば:

  1. あるDeFiプロトコルがトークンTKNを発行

  2. TKN/ETH = 90/10のウエイトのBalancerプールを作っておく

  3. 収益で買い戻し(バイバック)
    例えばプロトコル収益で1ETHを得たら、すべてBalancerプールにいれる。そうすると、1ETHを使ってTKNを市場からバイバック(買い戻し)するのと同じことが自動でできる

  4. 供給(メイク)
    買い戻しで増えたTKNを、コントラクトが自動でBalancerプールから引き出し、リソース提供者へ報酬として配布する。

となります。このモデルは、バイバックによる経済的なメリットを持ちつつ、「バーンによってトークン最大供給量が変更されない」という確実性も同時に持つことができます。また独自でバイバック&バーンのコードを管理したりボット運用をする必要がなく、Balancer側にアウトソースするため、効率的です。

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6.Liquality Releases In-Browser Atomic Swap Wallet for DeFi

ConsenSysがインキュベートしているスタートアップLiqualityは、ブラウザから直接トークンをアトミックスワップできる新しいウォレットを発表しました。

MetaMaskに似ていますが目的は異なっていて、Liqualityはトラストレスな交換を目指しています。wrapped BTC(wBTC)などを使わずに BitcoinをEthereum上で受け付けるサービスなども実現できます。

現状はLiqualityを利用したときのスワップ相手は、デフォルトではこのLiquality自体が取引相手になっています(技術的に設定すれば自分で選ぶことができます)。十分に普及すれば流動性が大きくなり、Liqualityがこのようなマーケットメイクをしなくてよくなる予定です。

※このLiqualityは、上のLiquityと名前が似ていますが、別物です。

 

7.BitGo Is Bringing DeFi-Friendly Wrapped Bitcoin to the Tron Blockchain

Tronは、BitGoとパートナーシップを結びました。この提携により、wBTCが Tron上で流通することになります。

 

8.EU Proposes Full Regulatory Framework for Cryptocurrencies

EUは、暗号通貨を規制対象の金融商品にするという法案を提案しました。「Regulation on Markets in Crypto Assets(MiCA)」と名付けられています。

この法案は、暗号資産の定義を明確にし、トークン発行者とトークン保有者の関係も規定することで、投資家がプロジェクトに対して苦情を申し立てるための手続きも明確になります。

もしMiCAが可決されれば、EUが規制整備された大きな市場となり、EUすべての国に適用されます。規制準拠するクリプト企業には、EU全域で適用される権利が与えられることになります。

 

9.Startup Behind Siacoin Storage Platform Raises $3M, Rebrands as Skynet Labs

Siaの開発元であるNebulousが、「Skynet Labs」にリブランディングを行い、Paradigmなどから $3Mドルの資金調達をしました。

分散型のストレージのプロジェクトで、FilecoinやArweaveなどと同じカテゴリに入ります。分散型のストレージによって、検閲に強くシャットダウンされないアプリケーションが可能になり、Decentralizationが本当に必要なプロジェクトには必要とされるパーツとなります。Handshakeドメインを使ったハッカソンも行っていて、Web3の文脈では注目しているプロジェクトの1つです。

 

10.DeFi Angels, VC Firms Back $2M Round for Data Provider Dune Analytics

DeFiプロジェクトのデータを分析するツールを提供するDune Analyticsは、シードラウンドで$2Mを調達しました。Dragonfly Capitalが主導し、Multicoin Capital、Coinbase Ventures、Digital Currency Group、CompoundのCalvin Liu、UniswapのMatteo Leibowitz、Aaveの創設者Stani Kulechovなどが投資に参加しています。

Dune Analyticsは私も何度か使ったことがありますが、チャートやダッシュボードを作成でき、ユーザ同士で共有できるのが特徴で、コミュニティ主導型の製品です。開発チームは、ノルウェー拠点で2名で運営していますが、この調達で人を増やし、サポートも厚くする予定になっています。

 

11.Valentus Capital Plans $50M Token Raise for Credit Fund: Report

Valentus Capital Management いう米国のプライベート・エクイティ投資会社が、自身をトークン化し、トークンを販売用に提供することで、最初の $50M ドルを調達したいと考えています。ロイター通信によると、ValentusはRealioというあまり知られていないデジタル資産運用会社と共同でトークン化と売り出しを進めているとのことです。

トークンセールで調達する資金は、不動産担保証券などへの投資資金になるとのことです。今年から来年に実施できる可能性があり、米国プライベートエクイティファンドが米国の投資家向けにトークン化するのは初の事例になります。


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#144 Bspeak! 2020年9月21日号 トークンの規格化 / Avalancheのローンチ / Uniswapの今後

#143 Bspeak! 2020年9月14日号 BitcoinをDeFiに持ち込む / Ethereumとの互換性をもたせる

#142 Bspeak! 2020年9月7日号 yETHが金利を最大化する仕組み/待望のDeFiの保険

#141 Bspeak! 2020年8月31日号 Polkadotの「DOTトークン」はどう価値を獲得していくのか

#140 Bspeak! 2020年8月24日号『DODO』はUniswapキラーとなるか/ NEARのEthereumブリッジの仕組み

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#127 Bspeak! 2020年5月25日号 BlockFiへの攻撃/Bakktのアップデート

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#125 Bspeak! 2020年5月11日号 Ethereumキラーの競争/Bittrexの取引所トークン

#124 Bspeak! 2020年5月4日号 ETHステーキングでKEEP報酬/UMAのInitial Uniswap Offereingの結果

#123 Bspeak! 2020年4月27日号 スマートコントラクトで10倍レバレッジのデリバティブを実現するdYdX / Coinbaseが提供するオラクル

#122 Bspeak! 2020年4月20日号 Opynプットオプションの使い方/ Binanceスマートチェーン発表/ Microsponsorsをつかった商取引(Part2)

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#120 Bspeak! 2020年4月6日号 Makerの分散化に向けた最終ステップ

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