Keep3rプロジェクト / トークン配布手法『パラドロップ』

#150 Bspeak! 2020年11月2日号

■ Last Week in Crypto

1.Keep3r Network v1 beta - Andre Cronje - Medium

Andre Cronjeの新プロジェクト『Keep3r Network 』がベータ版として発表されました。まだコード監査中となっていますが、これまでの彼のプロジェクトと同様にトークンに買いが集まっています。掴みにくいプロジェクトですが、以下に概要を書いていきます。

スマートコントラクトは、複雑になればなるほど、維持管理のためにコントラクト外の役割(ボットやプログラム等)が必要になります。例えば、DeFiのマージン取引なども、清算価格になったら清算トリガーをするボットが必要になります。オラクルを更新する場合や、溜まった利回りを獲得する場合も、関数を実行するトリガーが必要になります。

現在はどうやっているかというと、各プロジェクトが個別に対応しています。例えば、UMAやAave上での清算、Yearnのハーベストなど、インセンティブを元に動く役割が用意されています。プロジェクトによってはこの役割が『Keeper』と呼ばれます。MakerDAOでも複数のKeeperがあります(auction-keeper、arbitrage-keeper等)。

このようなkeeperを担う開発者を見つけることができるのが、Keep3r Networkです。プロジェクト側が、Keep3r Networkにコントラクトを提出すると、Keep3r Network側で承認されれば、インセンティブに基づいて必要な仕事を担ってくれるわけです。

似たような例でいうと、KeeperDAOというDAOがあります。参加者がDAOに資金を集め、その資金でDeFi上の必要な役割(清算、リバランス、アビトラなど)を担い、得た報酬をDAO参加者で分け合うという組織です。

ここまで考えるとDeFiのリスクは、何もコントラクトのバグだけでなく、いくつかの要因の組み合わせによるリスクが潜んでいることが分かります。例えば、プロトコルのパラメータが合理的でないリスク(経済的なリスク)、元となるチェーンのリスク、オラクルのリスク、Keeperのリスクなどです。先週もいくつか攻撃がありましたが、今後もこれらのリスクを頭に入れておくと良いと思います。

 

2.Karura’s Approach to the Upcoming Parachain Lease Offering (PLO) on Kusama | by Dan Reecer

Polkadot上のDeFiプロトコルAcalaが、同じコードを使ったKarura(カルラ)という姉妹プロジェクトを発表しました。このKaruraは、Polkadot上ではなく、その姉妹プロジェクトであるKusama上に接続されるプロジェクトとして開発されています。

そして今後、『パラドロップ』と呼ばれる手法で、トークンを配布予定です。このパラドロップについて少し書いていきます。

新しいブロックチェーンがPolkadotに接続するには、以前書いたようにオークションで選ばれる必要があります。Polkadotの姉妹プロジェクトであるKusama(クサマ)でも、接続するブロックチェーンを選ぶために同じようにオークションが行われます。

このKusama(クサマ)のオークションに参加するためのKSMトークンを、Karura(カルラ)自身が買って集めてくるのではなく、KSMホルダーから集め(一定期間ロックされ)、その見返りとしてKarura(カルラ)チェーンのトークンKARを配ろう、というのがパラドロップです。

参加者としては、Karuraがオークションで選ばれればKARトークンが配布され、選ばれなければKARは得られずKSMが返却される、ということになります。

今回はKusama上でのトークン配布ですが、今後Polkadot上のオークションが始まった際に、同様の方法で調達してオークションに参加し、トークンを配布するプロジェクトが多く出てくるだろうと思います。

 

3.Singapore's biggest bank DBS is launching a crypto exchange

シンガポール最大手の銀行であるDBSが、DBSデジタル取引所という名前で、暗号通貨を取引できるようにすると発表しました。BTC、BCH、ETH、XRPを、シンガポール・ドル、香港ドル、日本円、米ドルで取引できるようになります。

またセキュリティ・トークン・オファリング(STO)を支援する可能性も示唆されています。

大手銀行からの発表だけあって、各所で取り上げられました。先週のPaypalの件もそうですが、既存の金融・フィンテック企業からの参入が目立つようになってきました。

 

4.IDEO CoLab Announces $21M Crypto Fund | by IDEO CoLab Ventures | IDEO CoLab

有名なデザイン会社IDEOのベンチャーファンドであるIDEO CoLab Venturesが、ファンドの規模などの詳細を発表しました。昨年$21Mを集めてファンドを組成し、クリプトをメインストリームに持っていくことを信念に、アーリーステージの企業に投資をしているようで、対象領域は以下のようになっています。

  1. Rearchitecting the Internet:Web3.0系

  2. Making the Financial System More Open:DeFi系

  3. Changing How We Work and Play:メディア・クリエイター/パーソナルトークン系

以下のように、Ethereumスケーリングソリューション企業のOptimism、スマートコントラクト監査企業OpenZeppelinなどに投資をしていて、次のファンドもまもなく作られる予定です。

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5.Coinbase's crypto debit card is launching in the U.S. and lets users earn back bitcoin

Coinbaseが、Visaデビットカードを米国でローンチすることを発表しました。英国と欧州ではすでにローンチしているカードサービスですが、米国でも内容を変えて展開されます。

利用者がCoinbaseカードで支払いをすると、自分のCoinbaseアカウントの暗号通貨から支払われます。2.49%の通貨換金手数料がかかりますが、USDCを利用する場合は手数料は発生しないことになっているため、USDCの普及にもつながると思います。

次にCoinbaseから出てくるサービスは、以前のインタビューであったように、トークンのローンチを手助けするプラットフォームだと思います。

 

6.Bitcoin: J.P. Morgan says value could triple, challenge gold

JPモルガンは、長年Bitcoinに対して懐疑的な発言をしてきましたが、ここへきてBitcoinへの見方を変えていることが分かる記事です。JPモルガンのアナリストチームは、Bitcoinの今のトレンドが維持されると、価格が2倍または3倍になる可能性があると予測しています。また長期的にはミレニアル世代にとっては金に代わる有効な資産クラスであるとしながらも、短期的には買われすぎだと警告もしています。

JPモルガンは先週いくつか他のニュースもありました。まず暗号通貨の預かり事業をする方法を模索しているという話題で、すでにクリプト企業との協議に入っています(JPMorgan is actively exploring digital asset custody platforms)。サービス提供のために他の預かり企業も利用することになりそうで、Fidelity Digital AssetsやPaxosなどにコンタクトしているようです。

またJPモルガンのデジタル通貨JPMコインも今週初めて商用に使用され、クライアントが世界中に支払いを行うことができるようになりました(JPMorgan creates blockchain unit, says the technology nears profits)。これに続いて、JPモルガンのチェーンを使った銀行間の情報ネットワークを「Liink」という名前にリブランドし、金融機関に対して、Liink上での開発を促しています。

 

7.Expanding 0x beyond Ethereum

0xが今後Ethereum以外のブロックチェーンにも対応していく方向性を発表しました。記事にもある通り、最近またはまもなくFilecoin, NEAR, Polkadot, Solana, Celo, Dfinityなど、多くのチェーンが稼働するようになってきましたが、これらの中から重要性やエコシステムを評価し、中期的には0xプロトコルが使えるように対応していきます。

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その後は、長期的には、異なるチェーン間をまたいで流動性を共有し、トークン交換ができるように『DEX Hub』のようなものを構築したいとしています。

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現状では、NEARやSoalanのように、ブロックチェーン自体でブリッジ機能を持たせる動きも多く出てきていて、クロスチェーンのための様々な手法を観測することになる向こう3~9ヶ月になりそうです。

0xのようにミドルウェアがクロスチェーンに対応するケースは今後も当然見られるはずです(BalancerもNEAR上で稼働させると発表がされました)。

しかしオフチェーンの部分(例えばガバナンスやステーキングに関連する部分)にチェーンをまたいで整合性を取らせる点が難しい点です。そうはいっても数年単位では、トークンが技術的規格に縛られず、自由に送受信/交換されるという未来が実現されるだろうと思います。


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以降もSubstackページからご覧ください。