MaskのイニシャルTwitterオファリング / USDCを利用した国外援助

#153 Bspeak! 11月23日号

■ Last Week in Crypto

1.Balaji Srinivasan, HashKey Back $2M Round in Twitter Privacy Tool Mask Network

Mask Networkが、HashKey、Hash Global、Alameda Research、Sino Globalや、Balaji Srinivasanなどから $2Mドルを調達しました。

Mask Networkは、TwitterやFacebook上から、DApps(DeFi、NFT、DAO)や暗号化メッセージ、暗号通貨の送信ができるようにするプロトコルです。以下のように、Twitter上からUniswapを使って取引することもできます。

またTwitter上からArweaveチェーン分散ストレージを使って、ファイルの共有・保存をすることもできます。

今後ガバナンストークンを発行し、分散型プロトコル/分散型企業になることを目指しています。上海拠点の企業ですが、プロトコルの所有権が分散されれば、プロトコルがシャットダウンされず、WeChatなど他のチャットアプリもクリプト機能を組み込みやすくなります。

年内にも "Initial Twitter Offering "を計画しているそうですが、おそらく実際にMaskを使って、Twitterからトークンセールに参加できるようにするものかと思います。

また最近では、アメリカ大統領選挙がテーマのNFTを538個、Twitter上でランダムに抽選し配布し、TwitterでNFTを利用する実験をしています(数量はトランプ氏とバイデン氏の各大統領候補が、最終的に獲得した選挙区の票数を反映しています)。

NFTを、希少性のために芸術的価値を持つトークンのみならず、「将来何かと交換するための証明書としてのデジタルフォーマット」として利用できることを示しています。

 

2.Circle Partners with Bolivarian Republic of Venezuela and Airtm to Deliver Aid to Venezuelans Using USDC

USDCの開発元である Circleが、米国政府、ベネズエラの野党指導者と提携し、ベネズエラの医療従事者へUSDCを利用した支援を発表しました。

国外援助にステーブルコインを使用した世界初の外交政策で、マドゥロ政権による検閲を避けながら、資金を分配する現実的な手段になっています。官民のパートナーシップ + ステーブルコインが使われた良い事例なので、もう少し説明していきます。

ベネズエラは、ハイパーインフレ、制裁、ニコラス・マドゥロ大統領の政策に苦しんでいる国です。それに起因して、今年はCovid19関連の医療用品/機器が不足し、医療従事者の給料もハイパーインフレですぐ無価値になるという状況になっています。

そこでCircleが、野党指導者のフアン・グアイド氏と連携、米国を拠点とするフィンテック企業 Airtmと連携、米国政府と調整をし、USDCを使った援助の仕組みを構築しました。マドゥロが国内金融システムに課した規制を回避しながら、すでにベネズエラの医療従事者に数百万ドルの資金を届けているようです。

## USDC援助の流れ

  1. 米国財務省と連邦準備制度理事会が、グアイド政府の銀行口座(米国内)へ、差押さえられた資金を開放

  2. グアイド政府が、その資金を使ってUSDCを発行する

  3. USDCが、ドル建て決済プラットフォームAirtmに送られる

  4. USDCがAirtmのウォレットに入金されると、AirUSD(Airtmのステーブルコインを裏付けとしたドル・トークン)としてベネズエラの医療従事者のアカウントに配布される

  5. 受け取った人は、市場レートで現地の銀行口座に引き出し、誰かに送金、Airtmのデビットカードで利用でき、現地の銀行を必要としない

となります。

マドゥロ政権は、ベネズエラの銀行口座に送金された資金に対して極端な規制や高いレートを課していますが、今回の暗号通貨ではこのような規制を避けることができます。

米国政府の外交政策を実行するために、ステーブルコインが利用された歴史的な例でもあり、今後も国際通貨のシステムにおいて、暗号通貨の存在感が日に日に増すことは間違いと思います。

 

3.NFT Game Axie Infinity Raises $860K in Governance Token Sale

ブロックチェーンゲームのAxie Infinityは、ガバナンストークンAXSの戦略的セール(プライベートセール)で $860,000ドルを調達しました。Delphi Digitalがリード投資家となり、調達した資金で、ゲーム内のイールドファーミングをより活発にする予定です。

Axiesは、NFTを使って複製できないキャラクターを作り、戦うゲームになっています。発表によると、Axie Infinityは現在、月間アクティブユーザー数が1万人を超える唯一のEthereumのNFTプロジェクトになっています。開発元は、ベトナム拠点で、最近ではBinance Launchpadでトークンセールを実施しています。

 

4.Mintbase Raises $1M Seed Round to Bring NFTs to NEAR Protocol

NFTマーケットプレイスのMintbaseが、$1Mドルを調達しました。Sino Global、D1 Ventures、Block Oracle Capital、Arweave、その他エンジェル投資家が参加しています。この資金調達で、開発者やデザイナーを採用し、今年中にNEAR上でのテストネットローンチを目指すことを発表しています。

現状Ethereum上でもマーケットプレイスが稼働していますが、並行してNEAR上でも開発をすすめるのは、ガス代の懸念からです。最近ではBalancerも同様の動きをしています。

ちなみにMintbaseが、他のNFTマーケットプレイス(SuperRare、Rarible、OpenSeaなど)と異なる点は、特定のカテゴリーに特化せず汎用的にしている点です。NFTが(デジタルアートやゲーム用途にとどまらず)新しいデータファイルフォーマットとしての利用を期待しています。

 

5.Airbnb's IPO Prospectus Says Firm May Consider Crypto and Blockchain

Airbnbが新規株式公開(IPO)の内容を公開しました。AirbnbがSECに提出したS-1(目論見書)によると、「将来の成功はトークン化、暗号通貨、新しい認証技術(生体認証、分散型台帳やブロックチェーン、AI、VR、AR、クラウド技術等)に適応できるかどうかにもかかっている」としています。

Our future success will also depend on our ability to adapt to emerging technologies such as tokenization, cryptocurrencies, new authentication technologies, such as biometrics, distributed ledger and blockchain technologies, artificial intelligence, virtual and augmented reality, and cloud technologies.

暗号通貨以外に、トークン化やブロックチェーン認証が言及されているように、ホストへの経済的なインセンティブや鍵の受け渡しなど、単なる支払いを超えたユースケースが実現される可能性もあります。

PayPalやVenmoなど米国ユーザが利用するアプリに暗号通貨が対応していく中、メジャーな消費者アプリでトークンやブロックチェーンが利用されるのも違和感がない状況になってきています。

ちなみにS-1によると、Airbnbはコロナウイルスのパンデミックによって打撃を受けているにもかかわらず、2020年第3四半期に利益を上げています。

 

6.Helium Wireless Network Approves New Hard Cap for HNT Token Emissions - CoinDesk

IoT向けに通信帯域を提供するネットワークHeliumですが、HNTトークンの供給に上限を設ける提案がコミュニティで承認されました。2021年8月予定の半減期に間に合うように、新しいトークンノミクスが実装される予定です。Heliumについては何度かこのメルマガで書いています

 GPSは不具合が多いため、将来的に位置情報はオンチェーンに乗ると考えていますが、その筆頭プロジェクトがHeliumとFOAMです。しかし最近ではElon MaskのSpaceXが、Starlink計画でGPSを置き換える可能性も現実味を帯びてきています(参照:MIT Technology Review

 

7.What’s next: Series B and Building the Next-Generation Backend for Digital Assets in 2021

FireblocksがシリーズBのラウンドで$30Mドルを調達しました。Fireblocksの過去の調達と、DeFiブーム直前の様子がわかるので、以前の Bspeak! 2020年3月23日号の3番目も読んで見てください。

Fireblocksは機関投資家がDeFiを利用するインターフェースを提供したり、Revolut、Celsius、BlockFi、PrimeTrust、Genesis、Nexoなどのサービスのバックエンドを提供していますが、今後は、デジタル決済、銀行業務、などの分野も模索していくようです。

こういった製品を触っていると、数年もすればより多くの企業郡がセキュアにスマートコントラクトを利用していくようになると感じます。

 

8.DeFi yield optimizer Idle Finance raises $1.2 million in seed funding

DeFi プロトコルの Idle Financeの開発チームが、シードラウンドで $1.2Mドルを調達しました。gumi Cryptos Capitalがリード投資家となり、Quantstamp、BlockRock Capital、Long Hashなどが参加しています。

Idleは、DeFiブーム前の2019年夏から稼働していて、今の Yearn Financeと同じような役割で、異なるDeFiプロトコルで運用して利回りを最適化してくれるプロトコルです。

まだ独自のトークンはありませんが、近い将来にトークンを発行する予定になっています。他のトークンと同じように、流動性提供者に報酬を与える流動性マイニングも実施し、所有権の分散を図るようです。

 

9.DEX Aggregator Rebrands to Slingshot After Raising $3.1M From Coinbase Ventures, Others

DEXアグリゲータの DEX.AG が $3.1Mを調達し、Slingshot にリブランドしました。まだ内容は見れませんが、ランディングページがとても壮大なデザインになっています。

このプロジェクトは、分散型金融(DeFi)ランキングボードDeFi Pulseを作ったのと同じグループであるConcourse Open Communityから生まれたものですが、最近は 1inch、ParaSwap、Matchaなどの他のアグリゲータにユーザを取られていました。

今回、Framework Ventures、Electric Capital、IDEO CoLab、Coinbase Ventures、Winklevoss Capital、Digital Currency Group、Robot Venturesなど、他にも多くの企業から、資金を集めていますが、アグリゲータとしてはどのように差別化を図っていくのか注目です。

 

10.Bulk preorders for the latest bitcoin ASIC miners are sold out until next spring

ビットコインは強気市場を維持しているので、いくつか要因をピックアップしていきます。先週Grayscale Investmentsの暗号通貨の運用純資産が$10Bドルを超えました

またBitcoinのマイニングを見てみると、最新ASICの事前予約も、春まで売り切れとなっているようで、中国以外の機関投資家からの需要が高まっているそうです。

ブル市場(強気市場)時には、よく有名人や資産家でクリプトを保有していたことが取り上げられますが、先週もメキシコの大企業Grupo Salinasの創設者でビリオネアのリカルド・サリナス・プリエゴ氏が、自身の資産の10%がビットコインであることを明らかにしました

さらにSECのジェイ・クレイトン委員長が、予定されている2021年6月より前の今年末に退任することになりました。面白いのは、このニュースが暗号通貨界隈の人々からは歓迎されていて、ビットコインETFにつながる可能性があると言われています。またクレイトン氏はCNBCの番組で、既存の決済システムの非効率性がビットコインの台頭を促しているとも述べています。

 

11.Y Combinator, Pantera join $3 million seed round for new crypto derivatives exchange Globe

まもなくローンチ予定のクリプトデリバティブ取引所「Globe」が、シードラウンドで$3Mドルを調達しました。シリコンバレーの大投資家 Y Combinator、Pantera Capital、Tim DraperのDraper Dragon Fundなどが参加しています。

機関投資家などのプロトレーダーが主なターゲットユーザで、より良いUXに注力しています。現状のUIは、BitMEXやdYdXを小綺麗にしたようなデザインになっています。

YCombinatorから支援をもらっていることから、CEOは「デリバティブ版Coinbase」と自称しています(Coinbaseは2012年にY Combinatorから支援を受け、Ycombinatorのポートフォリオ企業の中でトップ5位の評価額にまで成長しています)。

まずBTC、ETH、Bitcoinボラティリティインデックス(VIX)、DeFiトークンの無期限先物契約が100倍レバレッジで提供される予定になっています。


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以降もSubstackページからご覧ください。