1inchのトークンモデル/ Furucomboのトークン発行

#158 Bspeak! 12月28日号

EOY(End of Year)Bspeak!

今回は、2020年最後の配信になり、来週の配信は2021年となります。

2020年は間違いなくDeFiの利用が進んだ年だったと言えます。2021年は、おそらくNFT、また小規模コミュニティが使うトークン(ソーシャルトークンなどとも呼ばれます)が ようやくテイクオフするというのが私の予想です。

これは、DeFiのプロトコルが多く出てきたおかげで柔軟なインセンティブ設計ができたり、ファーミングで流動性を高めるということができるようになったためです。1年前のDeFiに似た雰囲気を、NFTやソーシャルトークン(+DAO)に感じています。

 

■ Last Week in Crypto

1.1INCH token is released.

異なる分散型取引所(DEX)をまとめてベスト価格で取引ができるアグリゲータ、1inchが、1INCHトークンを発行しました。トークンを発行することと、Mooniswapに流動性提供したアドレスが対象になることは8月に発表されていましたが、1inchで利用したことあるアドレスは以下の条件をどれか満たせば配布がされているようです。

  • 9/15以前に取引したアドレス

  • 12/24以前に4回取引したアドレス

  • 12/24以前に最低20ドル取引したアドレス

またUniswapの配布時と同様に、すぐに流動性マイニングを開始していて、2週間、$1inchとのペアの流動性を提供したユーザに報酬が配布されています。

また1inchが開発したAMMであるMooniswapは、これを機に 1inch Liquidity Protocol としてリブランドされています。

## 1INCHトークンモデル

1inch exchangeでは、ユーザがスワップを実行した後、スワップされたトークンの価格が変動することがあります。この変動して余った分は、1inch の DAO に蓄積されることになります。これを「ポジティブ・スリッページ」などと呼ばれたりもします。

例えば、

  1. あるユーザーがETHをDAIにスワップしようと1inchを利用したとします

  2. レートが表示されて、それに納得し、取引を実行します

  3. 完了までの間に価格が変化して、結果より多くのDAIが得られるようになったとします

この余剰分は、ポジティブ・スリッページとして、1inchのプールに蓄積されます。そしてこの収益は、$1INCHトークンに交換され、ガバナンス参加者や紹介リンクを使った人に分配されることになっています。

また取引手数料やガバナンス報酬などの各種パラメーターは、1INCHトークン保有者がガバナンスで設定をすることができます。

 

## 別プロジェクトのトークン配布

Uniswapに続く、広いユーザへのトークン配布となりましたが、Twitterでは以下のようなプロジェクトが今後ユーザへ所有権を分散させていくかもしれないと言っている人が結構います:

dYdX
Opyn
InstaDapp
TokenSets
etc…

確かにユーザへの還元は今後もあるとは思いますが、配布のためだけにアドレスを多く作って1度だけ利用するという行動にプロジェクト側も気づいているため、今後は配布がより洗練されていくと思います。

条件はプラットフォームの性質によりけりですが、ある程度の期間利用しているユーザであること、と設定したり、報酬額は支払ったGasコストにある乗数をかける、などがいいと感じます。

 

## MooniswapのTVL

1inch のトークン発行と配布が終わったため、トークン配布目的で流動性提供していた人が別のところへ資産を移したはずと思い、Mooniswapのロックされた価値(Total Value Locked)を見てみました。

予想通りですが、120M から 30M へと下がり、 1/4程度になっています。Uniswapの流動性マイニングが終わってTVLが半分($3.2B から $1.6B)になったときと同様で、TVLのうち多くは粘り気がない(stickyでない)流動性であることがわかります。

こういった流動性に、人工的に粘り気を加えるために、出金に対して手数料を設定したり、ロック期間を設けたりという設計するプロトコルも増えてきています。

Mooniswap TVL: DeBank

 

Uniswap TVL: Uniswap Info

 

2.https://v.cent.co/

昔からあるクリプトソーシャルメディアのCentですが、「Valuables」という機能を出しました。Twitter上の「ツイート」NFTとして、購入、売買することができる機能です。

Centは、Twitterアカウントを「Valuables」に変更しているので、NFTにピボットする方向のようです。

このValuablesではツイートした人がNFTにすることができますが、誰でもオファーを出すこともできるようにもなっています。

現在あるNFTコレクターが、Elon MaskのDogeについてのツイートを購入するために12ETH($7777!)を入札しています。これが1位の金額になっていて、2位はTwitter創始者ジャック・ドーシーの2006年の最初のツイートで、5.3ETH($3500)で入札されています。

今後のユースケースとしては、クリエイターが自分のツイートの買い手に、アートのNFTや、メディアのアクセス権としてのNFTをエアドロップすることも考えられます。その他にも色々と組み合わせることができるようになってくると思います。

 

3.Polkadot-Based DeFi Insurance App Raises $1.95M Led by KR1

保険スタートアップのTidal Financeは、KR1がリードのシードラウンドで$1.95Mドルを調達しました。このラウンドの他の参加者には、NGC Ventures、Kenetic Capital、Genesis Blockなどが含まれています。

DeFi保険では Nexus Mutual が有名ですが、Tidalは異なるアプローチをとります。

Nexus Mutualの場合は、保険対象となるプロトコルごとにプールがありますが、Tidalの場合は、流動性プロバイダーが1つのプールに流動性を提供し、その1つのプールが複数のDeFiプロトコルをカバーします。これによって、流動性提供者は一度に多くのプロトコルからの保険料を得ることができるようになると想定されます。

また保険トークンは、マーケットプレイスで自由に取引することができ、いつでも保険契約を譲渡することができます。

ローンチ時には、低リスク、中リスク、高リスクの3つの異なるプールを提供し、低リスクのプールには20個ほどのアプリが対象になる予定になっています。

ちなみにPolkadotベースと書かれていますが、Tidalの保険でカバーをかけるのはPolkadot上のプロトコルやアプリである必要はありません。まず最初はEthereum上のDeFiアプリが保険対象となると想定されています。

 

## TIDALトークン

TIDALというガバナンストークンが導入される予定になっていますが、流動性提供者と保険購入者に配布されます。そして保険をかける際に課金される保険料の一部が、TIDALホルダーに還元されるという構造になります。保険料の残りは、プール内の流動性提供者に支払われます。

ガバナンスでは、保険プールの運用戦略や、払い出しの評価などの意思決定をするときに利用されます。

詳細はまだ明らかになっていませんが、保険プールに資金を提供した人へ配布する流動性マイニングも予定していて、最初の保険プールが2021年の1Qにローンチする予定になっています。

 

4.Introducing COMBO Token. COMBO Tokens holders are incentivized

DeFi便利ツールのFURUCOMBOがトークンを発行することを発表しました。

FURUCOMBOは、DeFiのプロトコルをレゴのようにつなぎ合わせて、「Aを実行したらBを実行する、Bを実行したらCを実行する...」という流れをカスタマイズして作ることができます。コードを書く必要はありません。

例えばこの画像は、以下の流れを一気に実施することができます:

  1. ETHをDAIに変える

  2. DAIとETHペアをUniswapに流動性提供してLPトークンを受け取る

  3. LPトークンを担保にDAIを生成する

また現在V2を開発をしていて、異なるブロックチェーンの対応や、ファンドマネージャーになれるプールの実装がされる予定です。

 

## COMBOトークン

今回発表されたCOMBOトークンは、供給の52%がコミュニティに割当てられ、徐々にフルコンボのユーザーに分配していくことになっています。

Furucomboは現在手数料を徴収していませんが、プラットフォームを維持するために2021年のどこかのタイミングで課金を開始する予定になっています。以下のような手数料の一部が、COMBOホルダーに渡ることになります。

  • Furucobmoの利用手数料

  • BAL, UNI, SNXなどのFurucomboコントラクトに還元されるトークン

  • 他プロトコルから受け取った手数料のリベート

また新しいキューブ(組み合わせ可能な機能)を決めたり、それらを廃止したり、助成金の使い道を決めるといったガバナンスに参加することができます。

 

5.Cere Network Raises $1.5M More to Bring Its 'Decentralized Salesforce' to Polkadot

1年前にCere Networkというプロジェクトがブロックチェーンベースの顧客管理ツール(CRM)を開発していると書きましたが、今回Polkadot上で構築すべく、新たに$1.5Mの資金調達を行いました。$3.5Mドルを調達したシードラウンドと同様にBinance Labs, Arrington XRP Capital、QCP Capital、Kinetic Capital、Monday Capital、AU21 Capitalなどが参加しています。

まだホワイトペーパーは公開されていなく詳細はわかりませんが、エンタープライズ用の分散型データ環境(ブロックチェーン)を開発しているようで、Polkadot上のアプリをアグリゲーションして利用できる環境のようです。概要はこちらでも説明されています。

 

6.SEBA Bank successfully completes Series B fundraising to fuel accelerating growth

スイスの銀行ライセンスを持つSEBAは、シリーズBで$22.5Mを調達しました。スイスのブロックチェーンの法律が施行されれば、今回のシリーズBラウンドの株式をトークン化する予定になっています。

今回の資金によって、欧州だけでなく、アジアへの進出や、米国の機関投資家のサポートをして拡大していく予定になっています。

スイスにあることを活かした軍事級の(物理的な)セキュリティを持つカストディサービスがあることに加えて、証券トークンの発行/管理ができるプラットフォームも提供しています。既存金融業界に需要が見込める分野だと思います。

 

7.India's Leading Bitcoin Exchange Raises $13.9M From Block.One, Coinbase Ventures - CoinDesk

インド最大の取引所であるCoinDCXは、Block.oneがリードのシリーズBラウンドで、$13.9Mを調達しました。Polychain Capital、Coinbase Ventures、Uncorrelated Ventures、Jump Capital、Mehta Venturesなどが参加しています。

2020年3月に、インドの最高裁判所が取引所サービスを解禁したことを書きましたが、それ以降、インドの人口が多さや、パンデミックの影響も相まって、大きく出来高を伸ばしているようです。フィアットのオンランプ(法定通貨→暗号通貨)を提供している点がやはり大きいです。

リードしているBlock.oneについて、EOS側(特にVoice.com)は比較的目立たなくなったように感じていますが、Bitcoinの保有によるキャピタルゲインや、今回のようなスタートアップ投資でうまくやっている印象です。
 

8.Crypto Payment App Flexa Raises $20M, Unveils New Backend

Flexa Networkが、プライベートセールで$6Mを調達しました。

Flexa は過去に、取引所のGeminiと共同で、Whole Foodsなどの大手小売店で暗号通貨を使用できるようにする新しいアプリ(Spednという名前)をローンチしています。支払う側はBTCとETHで支払うことができ、支払いを受け入れる側は法定通貨もしくは暗号通貨かどちらで受け取るかを選ぶことができるというものです。クレジットカードの店舗決済を簡単にするStripeのクリプト版といえます。

今回2018年と2019年に販売された Flexacoin(FXC)が、AMPにリブランドされ、ConsenSysと共同で開発をし、Compoundの創業者Robert などから調達をしています。

新モデルでは、AMPトークンを動かす必要がなく担保として利用でき、それによってL2の即時支払ができるようです。こちらは Looping DEX上で1ヶ月間流動性マイニングを実施しています。

 

9.South Korea's Hashed Raises $120M Venture Fund for Crypto Deals

韓国拠点の企業 Hashed の投資アーム Hashed Ventures が、ファンド資金$120Mドルを調達しました。LP(出資者)は公開されていませんが、主に韓国の大手企業からの出資を受けているようです。Hashed のページを見るとポートフォリオが記載されていますが、すでに数多くのクリプトプロジェクトに投資をしています。

 

10.Roisman Named Acting SEC Chairman, Peirce Tweets

11月23日号で、SECのジェイ・クレイトン委員長が予定されている2021年6月より前の今年末に退任することになった、と書きましたが、12月23日で正式に辞任されました。

そしてRoisman氏がSECの臨時チェアマンに就任しました。Roisman氏は、暗号通貨に対して友好的と言われていてポジティブな声が多いようです。

また同じくSECの話題だと、SECは12月22日にリップル社を連邦証券法違反で提訴しました。これを受けて大手取引所では、Bitstampが米国居住者に対して、XRPの取引および入金サービスを1月8日より停止することを発表しています。今後どうなるか分かりませんが、どのような結果であれ界隈に影響を与える件になります。

※どうでも良いことですが、「XRP Perpetual は、perpetual じゃない最初の perpetual になるかも」というジョークを発見しました。perpetualとは、永久という英単語ですが、先物の無期限契約を指します。


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